GRⅢで撮るポートレート

GRⅢで撮影した長崎のポートレート作例

  最近、たまにGRⅢとGRⅢxを併用してポートレートを撮っている。元々、2013年に発売された初代GRをスナップ用に持っていて、旅に欠かせないカメラとして愛用してきた。その後、GRⅡやGRⅢが発売されても、GRでずっと満足していた。GRⅢが気になり出したのは、2021年にGRⅢxが発売されてからだ。GRⅢとGRⅢxのふたつのカメラがあれば、もしかしたらスナップも物撮りも、そしてポートレートでさえもGRで足りるのではないか、そう思って今年2023年に入ってGRⅢとGRⅢxを同時に購入した。常に2台を併用することを考えて、Ⅲ同士で合わせるためだ。ちょっと未練はあったけれど初代GRは手放した。仕事以外の、趣味やプライベートのすべてが本当にGRだけで撮れるなら、究極のコンパクト・システムになる。

 上の写真はGRⅢで撮った写真で、下の写真はGRⅢxで撮った写真。予想通り、GRでポートレートは撮れる。昔、ソニーのコンデジ、RX1でポートレートを撮ったことがあるが、まったく撮れなかった。当時はまだ一眼レフカメラを主に使っていたので、ミラーレスに慣れていないせいもあったかもしれないけれど、背面液晶で見えているものと実際が違いすぎて(それを言ってしまえば、EVFはぜんぶそうだけれど)まったく撮れない。

 もちろん、GRⅢでもそれは同じなのだが、最近はミラーレスの背面液晶で撮り慣れてきたので、現実とモニターに映っているもののタイムラグにも慣れて、というか、そういうものだと割り切ってしまえば、わりと撮れる。最近はカメラの性能が上がってそのタイムラグも少なくなってきているのもある。シャッターを切るとモデルさんは即座に次の動作に入るので、以前のミラーレスだと、シャッターを切ってブラックアウトした次の瞬間にはもうモデルさんが画面に入っていない、みたいなことも本当にあった。

 GRⅢはクロップ機能があるので、2台を併用すれば、画角だけでいうとフルサイズ換算で28mm、35mm、40mm、50mm、71mmの5本のレンズを持ち歩いているのと同じになる。ポートレートではGRⅢは28mmで固定し、メインはGRⅢxの40mm、たまにクロップして71mmを使う。個人的な使い方として、スナップ撮影でもクロップはよく使うので、カメラの左側面に付いている動画ボタンにクロップを割り振っている(GRで動画は撮らない)。

 個人的な感想として、GRでもポートレートはよく撮れるし、画質もまったく問題ない。APS-CセンサーでF2.8のレンズなので、開放のときのボケ感はやや少ない気もするがそれも作品の良し悪しにはそれほど関係ない。容量の小さいバッテリーは予備を持っていれば何の問題もないし、とにかく軽いからフットワークがいい。気になったのは、ファインダーがないので光の反射で背面液晶が見えないときに困るという点。見えないままシャッターを切っていることも多い。それでも失敗は少ないからつくづく優秀なカメラだと思う。

 見栄の問題はある。コンパクトカメラだとモデルさんに対して「カメラマン感」がないのだ。けれど、「カメラマン感」がないことはつまり「撮影っぽくない」ので、人が多い場所では逆に撮りやすいという利点がある。

 あとは、これを言っちゃおしまいなんだけど、オールドレンズなどいろんなレンズを楽しめない。逆にいうと、レンズ交換式ではないということだけしか欠点が思いつかない。昔、リコーはレンズ交換式のGRをつくったこともある。けれど、僕がGRを選ぶのは画質の優秀さはもちろん、あのコンパクトさとデザイン(凹凸が極めて少ない箱型)が気に入っているからだ。

 結論として、GRだけでプライベート撮影のシステムを組むのは可能だ。でも、今はまだしない。撮れる写真の良し悪しだけじゃなく、道具としてカメラそのものが好きだからだ。X-T2のあのシャッター音はたまらなく好きだし、近々発表になりそうなニコンのZfも気になる(ZfcはチープなボディだったけどZfはどうだろう)。とても高価だが軽量化されたライカM11も気になる。そして、気になるレンズはその何倍もあるのだから。

2023年10月15日追記

 ニコンのZfは思ってた感じと違っていた。重いし。というわけで、我が家のレトロデザイン部門のカメラ枠は、X-T2がまだまだ現役で稼働する。

 GRⅢとGRⅢxだけで撮ったポートレイト作例はコチラ→「ポートレート 2023 SESSION09 IN 長崎」「ポートレート 2023 SESSION11 IN 諫早

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